本書は、国立台湾文学館の常設展「文学力:LÁN(わたしたちの)臺灣を描く」を拡張させた一冊のテキストである。各章の記述は主に、同展で示した台湾文学史の構造と内容に依拠したものだが、そのうえであらためて、読者が時間軸に沿って全体を把握できるように、あるいは個々の論点を深く検討できるように、時代別・テーマ別に章を独立させて書き直している。また、大衆の読書習慣に寄り添うべく、全体でエッセイ風の書き方を採用した。注釈はなるべく控えた一方、作家たちの文章や語句を多く抜粋することで、論述の証拠を示した。ゆえに読者はこれを気楽に読みながら、じっくりと内容を理解していくことができるだろう。したがって本書は、常設展の拡大版コンテンツを具体的な展示した一冊でもあり、台湾文学史の入門書にもなっている。少年少女から大人まで、皆の学校テキストとして、台湾文学に親もうとする人々の役に立てれば幸いである。