2019/03/29 ~
国立台湾文学館 1F展覧室D
本展は、1949年に台湾への撤退は一時的なことと考えていた当時の外省人の軍人、その家族と子孫たち、そしてあれから70年の時を彼らと共に過ごしてきた全ての民族に捧げる。
本展のタイトル「逆旅」には二つの意味がある。
一つ目は、文字通りの意味で横逆な旅である。
二つ目は、古くからの本義である、中国詩人李白『春夜桃李園に宴するの序』という詩の中には
「夫天地者,萬物之逆旅也;光陰者,百代之過客也」の一節がある。
「この世は、旅人がすぐに旅立っていく旅籠屋のように。時の流れは、永遠の旅人のようなものだ。」という意味である。
台湾で暮している人々は、各地から渡ってきた旅人が集まり、 縁あって一緒に暮らすようになった。 この島はどの旅人でも迎え入れ、星の夜空のもとに光り輝く宿だ。
どのように移民文学を論じればよいのか? もしその人たち(外省人)が故郷を思う気持ちに触れるだけなら、恐らく表面的なものしか捉えられないだろう。 もし他の人たちに彼ら(外省人)の印象についてのみ聞くなら、残念ながら固定観念しか残らないだろう。 ところが、「その人たち」と「他の人たち」の間には、理解と誤解が多く存在し、矛盾にも微かに混じり合っている。それらは特に文学作品によく表れている。 もちろん、 その人たち(外省人)は均質的な人たちばかりではない。
人々の間に生まれた溝は、外省人と本省人の間で生じた省籍亀裂が要因だけではなく、貧富の差、身分の違い、階級敵視、利益対立、これらすべてが溝を深めた要因だ。
戦後台湾に来た移民も同様に、高級官僚もいれば、豪族、中流階級、集落に住む人、身寄りのない貧困層もいる。
彼らは時代の劇的な変化による理不尽を受け入れながらも、異郷の地で人生を切り開いていかなければならなかった。
70年経った今、台湾は「老芋仔/外省人を揶揄する呼び名」、「外省人」、「老兵」などといった呼称や、ステレオタイプな考え方を直ちに止めるべきだ。
私たちは文学を通じて、1949という激動期に隠された人間性と哀憫の情を見ることができる。
Last Updated on 2019-10-02