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巡り合いの輝き――台日交流文学特別展

  • 展示期間:2016-02-04~2016-11-27
  • 展示場所:国立台湾文学館‧1F展覧室D

巡り合いの輝き――台日交流文学特別展

展覧総説

昔から台湾と日本は何度も異なる時空間で触れ合い、交流し合ってきた。両国が刺激し合い、競争し合う度に輝きが放たれてきた。時には片方だけが眩しい光を放ち、時にはお互いに照らし合う。本特別展では、両者が照らし合うその輝きのもとで波動が起こって浮き彫りになる台日文学と文化についての紹介を行う。

昔、両国は遭難船の漂着をとおして意外に接触を持ってきた。1895年、台湾が日本によって植民地統治されてから、台湾のローカル文化と勢力の強い日本植民者文化とが衝突し合い、いずれもがその強烈な異同の衝撃を感じ、両国の間では排斥が起り、競合や交流といった現象が起きたのである。1945年第二次世界大戦が終わり、台湾と日本の位置は平等なものになった。時代の変遷にともない、台湾も日本も民主化および多文化的発展を経験してきたが、台湾各地では依然として、植民地時代の文化や近代化の痕跡が残されている。このような特殊な歴史背景があることによって、両国の交流はさらに頻繁に行われ複雑なものになり、また独特かつ豊かな光景を呈している。

本展覧会は以下の三つのエリアに分かれている。一、「見てみる」では、両方はお互いに見つめ合い描写し合ったことを展示する。二、「考えてみる」では、台湾人と日本人が触れ合う際に起きた衝突や競争、そして後にお互いを高め合うようになるまでの変遷を見てみよう。三、「恋してみる」では、庶民生活の文化の軌跡をたどることで、両国の日常生活での触れ合いや気持ちが解け合う情景、乃至日本ブームや台湾ブームを見ていく。本特別展では、上記の通り台日間の無理解と理解、敵対と友好に関する描写、文学の交流と知識の再生産および複雑で錯綜した異文化の交流について紹介したい。

見てみる--見つめ合う・描写し合う

台湾、日本両方の間は、東シナ海を挟んで、文字での記録よりずっと昔から様々な交流があった。文字で記録が残された最古の文書によれば、少なくとも四百年前から、両方は文字をとおしてお互いを描写し合い、各時期に色々な形式で様々な内容の記録が残された。日本人は台湾の漢民族と原住民について、そして台湾人は日本からやってきた官僚や百姓について、それぞれ異なった記録をしている。異民族の記録はまるで鏡に映されたイメージであるかのように、台日は相手の書き写しをとおして己のアイデンティティを認識し、自分自身の特質を理解し、またそれぞれ各自で想像したのである。しかし、こういった記録も時には歪曲されたり、異なったものとして表現されたりすることがある。このエリアには、文学者によって創作された詩や歌、小説もあれば、船長や政治家・人類学者らによって書かれた随筆の作品もある。真実のものから虚構のものまで、内容は賞賛、風刺また恋愛、感傷的なものなど多岐にわたって網羅されている。

考えてみる--台日競合のメヌエット

1895年に台湾が日本の植民地になった。この時代の狭間において、台湾人は言語をはじめとして、日常生活や教育、経済体系など日本植民地の管轄下で近代化を経験した。物質上だけでなく、精神面においても日常的な習慣や宗教・信仰などが根本的に変化し、戸惑いも生じた。台湾総督府は種々の政策を行ったが、「内地延長主義」などは実質上、台湾が日本の内地の延長とは言いきれず、同化政策においても台湾側と日本側は異なる主張をしていた。台湾人はそういう事実を受け入れざるを得なかったのである。1920年代台湾のエリート層にも相当な衝撃を与え、当時蔡培火が「台湾は帝国の台湾であると同時に、我等台湾人の台湾である」と主張している。台湾国内では、文学や政治運動などが盛んになり、日本側とも競い合っていた。台湾の作家はチャレンジ精神に富み、新進思潮を追求していた。共に在台日本人も台湾文学に新しい視点を提供していた。このエリアでは、台日間の思潮の交流、思想の衝突や運動の競い合いなどの光景を見てみたい。

恋してみる--生活交流と触れ合い

この百年余りの間、台湾と日本は、地理的に近いことと複雑な歴史を背景にして、空間的にも時間的にも交差し合い、深い絆を結んできた。植民地統治時代、日本政府は高圧的に台湾を傷つけてきた。政治体制の管理以外では、両方の優秀な政治エリートや知識層たちは、時代思潮の流れに沿って思想的に対立して争うこともあれば、抵抗し合って、それを受け入れることもあった。そして、人々の日常生活に根ざした文化的な要素、例えば言語や風習、衣食住、流行、娯楽などがどのように影響し合い、長い歳月を経て洗練され薫陶されていくことで、それがいかにして人々の人生の記憶および成長の経験の一部分になっていったのかを見ることが、台日交流を考える際の原点にはある。このエリアでは、感性と人情の面から見て、両国の日常生活での触れ合いや気持ちが解け合っていくことに注目して、台日の文化交流がどのように両国の社会の奥深くまで浸透していったのか、またどのように生活の場に刻み込まれていったのかを見ていきたい。文学作品や旅行踏査などをとおして、波動の時代に両国の人々が歩んできた軌跡と、その軌跡に沿った綺麗な風景をご覧ください。