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本の中の小さな胡蝶──佐々木康之児童藏書票展 TheSmall Butterfly in the Book: Selected Children Ex-Libris from the Collection of Sasaki Yasuyuki

  • 展示期間:2015-06-13~2015-08-30
  • 展示場所:台湾文学館‧1F 兒童文学書房


本の中の小さな胡蝶

国立台湾文学館では「本の中の小さな蝶──佐々木康之の兒童蔵書票特別展」と題して、日本人の蔵書票コレクターである佐々木康之氏から寄贈されためずらしい蔵書票を展示。これら書票は日本、中国、台湾の3地において当代の巨匠芸術家の手によって描かれたもので、「本の真珠」や「本の中の蝶」とも呼ばれる果てしない魅力を有する芸術の宝です。


今回展示される蔵書票は、日本人蔵書票コレクターである佐々木氏から無償で寄贈されたものであり、当館ではその中から子供に関係のある蔵書票を選りすぐり初公開しました。なかなか見ることのできない素晴らしいものばかりで、蔵書票の裏に隠された本を愛する精神や文化的意味についても知ることができる絶好の機会です。


蔵書票はミニサイズの版画になっており、芸術的価値や文化的価値、歴史的価値があるのはもちろん、社会の変遷や時代をまたぐ人生の縮図でもあります。今回展示される書票は佐藤米次郎、金守世士夫、船水晃、楊以磊、潘元石、黄三泉など著名な版画家のものばかりです。書票に描かれたディテールにはそれぞれ物語があり、書票作者とその書票の持ち主との秘密の言葉が隠されています。例を挙げると、生活と関り深い「木馬」や「木馬に乗る男の子」、「頭にランの花をつけた女の子」、台南の歴史や文化に関係のある「剣獅子」や「赤崁楼と鄭成功」など、いずれもじっくりと堪能する価値があります。


親子で楽しめるように、この展示会はお話仕立ててで蔵書票を紹介しています。わかりやすい図や文章で蔵書票の由来や製作方法、用途などについて紹介し、子供たちに本と蔵書票の関係についても説明しています。また書票と関係のある子供用の絵本も合わせて展示して、書票に描かれている人物が登場する物語についても知ってもらい、一方で芸術と読書を広めたいと願っています。


目で美しい蔵書票を楽しんでいただくだけなく、当館では台湾の著名な木口木版家である黄森灥を招いて、書票講座や手作り教室も開催。7月18日に開かれた書票講座「蔵書だけでなく票もある」では、蔵書票の歴史と由来について紹介し、蔵書票の創作や物語についても検討されました。手作り教室は、8月1日の大人向け講座と台湾の父の日にちなんで8月8日特別企画親子講座の2クラスが開かれ、こよなく愛する本のために実際に書票をデザインしてみて、書票によって生活の一部が記録されることになりました。




図1

図1 テーマ別にわけられた展示ゾーン。カラフルな色合いと子供が喜びそうな方法で蔵書票を鑑賞し、蔵書票について様々ことを知った。書票にちなんだ児童書や絵本を展示することで、読書の楽しさへと結び付けている。




図2

図2 木口木版の彫刻作業机。蔵書票作りの第一歩はこの机から始まる。木刻道具を展示しているほか、木口木版についてもざっくりと理解できる。




図3

図3 大人向け講座「手作り教室、蔵書票を作ってみよう」。合羽版の製作方法や色のつけ方について説明。淡くて優雅な合羽版書票は女性にぴったり。




図4

図4 「手作り教室、蔵書票を作ってみよう」。親子の共同作業。初めて作った樹脂版の蔵書票。