2018/07/22 ~
福島県立博物館、斎藤清美術館
会津若松市出身の小説家で詩人の西川満は(にしかわみつる)は、2歳で家族とともに台湾に渡り、台湾で育ちました。早稲田大学仏文科で西條八十等に学んだ後、台湾に戻り、台湾独自の文学を打ち立てることに尽力します。1933年に台湾日日新報に入社。記者として活躍すると同時に媽祖書房を設立。台湾の美しい自然や豊かな歴史、文化、風俗に基づいた雑誌を発行しました。また西川の美意識の結実した装丁を施した私家本は「美本は台湾から」と日本でも評されるほどものでした。本展では、近年大回顧展を開催した国立台湾文学館との共催により、西川満が愛してやまなかった台湾を、西川が手掛けた本などから御紹介すると同時に、西川満が台湾文学界において果たした役割にも触れます。
西川満をはじめとした日本人、台湾人が互いに築いた両国の親しさは、2011年の東日本大震災時の台湾からの多大な支援へとも繋がっています。人や文化が国境を越え、人と人を、国と国を繋ぐことを、福島県出身の西川満の活動を通して考えたいと思います。
■西川満(1906-1999)
会津若松市生まれ。祖父は初代会津若松市長・秋山清八。父の仕事により2歳の時に台湾に渡る。台北一中を経て、早稲田大学仏文科に進学。卒業後、台湾に戻り『台湾日日新報』に就職。『台湾風土記』(1939年)、『媽祖祭り』(1935年)、『華麗島頌歌』(1940年)等の詩集や文物記録により、台湾の風物や文化を広く国内外に伝えた。
敗戦後の1946年、日本に引き揚げる。引き揚げ後も、版画家たちと協同して台湾を題材とした美しい装丁の本を限定版で制作、出版し続けた。1947年、台湾での228事件(国民党政府による本島人弾圧)に際して日本に逃れてきた知識人たちを支援。彼らの中から後に台湾民主化運動が起こった。
没後、台湾の真理大学に蔵書1万冊を遺贈。近年、台湾民主化と共に、西川満の日本及び台湾での美麗本文化振興への貢献と日本と台湾の文化面での相互理解に残した大きな足跡が再評価されている。
開催概要
期 間 2018年7月22日(日)~8月19日(日)
会 場 福島県立博物館常設展部門展示室 歴史・美術
主 催 福島県立博物館/国立台湾文学館
特別協力 台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
協 力 真理大学台湾文学資料館/台南市曽文社区大学/旧香居/芸文交流台湾⇔会津プロジェクト実行委員会/斎藤清美術館
後 援 中華民国文化部
【連携展示1】 斎藤清美術館企画展 台湾コネクション―版画/蔵書票がつないだ、「台湾×斎藤清」展
期 間 2018年7月22日(日)~9月9日(日)
会 場 斎藤清美術館(福島県河沼郡柳津町柳津下平乙187 tel:0241-42-3630)
主 催 斎藤清美術館/国立台湾文学館
Last Updated on 2022-12-28