
詩のルネサンス――斉東詩舎
詩は洗練された言葉の芸術。詩を書き、読み、歌うことは台湾人には人生であり、文学の本質でもあるのです。
台湾政府文化部(元文化建設委員会)は2009年、台北市文化局に「斉東街日本宿舎」(済南路2段25、27号)の保存改築を要請、その後、文化部長で文学者の龍応台氏がこの素朴な歴史的建築物を「斉東詩舎」と命名しました。龍部長はここを文学の拠点とするため、台湾の著名な建築家である陳瑞憲氏に斉東詩舎の空間デザインを委託、さらに国立台湾文学館に管理と展示企画を委託しました。
これと同時にプロジェクト「詩のルネサンス」をスタート、台湾企業「成霖」社長の欧陽明氏の援助を得、2014年から3年間、詩の創作交流を推進する運びとなりました。龍部長は「文化部による歴史的建築物の再利用がスタートなら、企業による詩歌創作への支援はそのエネルギーです。」と喜びを語っています。
建築様式
斉東詩舎の建築様式は「和洋折衷」型。屋根は「寄棟造」で、黒い瓦をふき、棟の端には鬼瓦がほどこされています。内部には下駄箱や床の間、床脇、付書院、戸袋、雨戸、配膳窓、書斎、掃き出し窓など日本的な空間と建具などが保存されています。
文化資産の保存
2000年、台北市文化局局長だった龍応台氏は、歴史的価値のある斉東街の日本宿舎と老樹保存に着手しました。2002年12月には、斉東街幸福里の住民がこの建築群による歴史の記憶への思い入れから、次の世代にぜひ残したいとして、元々の場所で保存する運動を開始、官民の一致協力の体制が整いました。そして2006年7月、台北市文化局は斉東街の日本宿舎群と老樹エリアを「台北市中正区斉東街保存区及び集落外観保存特定専用区」に指定、文化資産の保存と修復が行われるようになったのです。